手順どおりにやったのに動かない——Remote Play Togetherでつまずく人の大半は、実は「やり方」で失敗していません。招待は送れた、相手も入ってきた、それでも音が出ない・パッドが効かない・画面が真っ暗。ここから先は手順書ではなく切り分けの領域です。
この記事は症状から入ります。下の表で自分の症状を探して、そこから原因と対処に飛んでください。表の「根拠」列は、すべてSteam公式ヘルプのRemote Playページに書かれている内容です。憶測で並べた対処法ではありません。
- 症状を特定 招待 / 音 / パッド / 重い
- 招待は「送れない」と「届かない」を分ける 別の問題
- 音はゲーム音とマイクで別ルート 片方ずつ確認
- パッドは買う前に3つ試す 割り当ての問題が多い
- 「重い」だけは別問題 回線と描画の話
症状 → 原因 → 対処の診断表
| 症状 | 考えられる原因 | まず試すこと | 根拠(公式ヘルプの該当項目) |
|---|---|---|---|
| 招待メニューにフレンドが出てこない | 相手が「オンライン」、自分が「ゲーム内」の状態になっていない | 相手のフレンドリストで自分がゲーム内、自分のリストで相手がオンラインと出ているかを両側で確認する | 基本的なトラブルシューティング |
| そもそもRemote Play Togetherの項目が出ない | そのゲームが非対応、またはSteamオーバーレイが無効 | ストアページ右側のゲーム詳細にRemote Play Togetherの表記があるか確認。無ければ非対応 | ゲームがRemote Play対応かどうかを知る方法は? |
| 招待は送れたのに接続できない | ファイアウォールがSteamの通信を止めている | UDP 27031・27036 / TCP 27036・27037 をSteamに許可する | ストリーミングが使用するネットワークポートはどれですか? |
| 同じ家なのに相手のPCが一覧に出ない | ポート27036を別のアプリが占有、または別サブネット | 2台が同じサブネットか確認。27036を掴む常駐アプリ(Hamachi等のVPNを含む)を止める | コンピューターが互いを認識しません |
| 参加はできたが画面が真っ暗 | 映像ドライバが古い / エンコード・デコードの非互換 | 両方のPCのGPUドライバを更新 → ホストのハードウェアエンコードを無効化 → クライアントのハードウェアデコードを無効化、の順に1つずつ | ゲームのストリーミング中に黒い画面が表示されます |
| 画面に残像・スミア・大きな色ムラが出る | NVIDIAのハードウェアエンコードとデコーダ側の既知の非互換 | クライアントのハードウェアデコードを有効にする。直らなければホストのハードウェアエンコードを切る | NVIDIAハードウェアエンコーディング使用時の既知の問題 |
| ゲームの音がまったく出ない | ホスト側かゲスト側のミュート | 両方のPCで音量ミキサーのSteamがミュートでないか確認。ホストの logs\streaming_log.txt に音声エラーが無いかも見る | ゲームのストリーミング中にまったく音声が聞こえません |
| 相手の声だけ届かない | 仕様。ストリーミングでのボイス録音は非対応 | 声は通話を別立てにする(Steamのボイスチャット/Discord等) | 既知の問題(一般) |
| 音がずれる・遅れて聞こえる | 帯域か処理の詰まり | ストリーミング中に F6 で統計を出し、どこで時間を食っているか見る。画質設定を落とす | ストリーミングのパフォーマンスに関する問題を診断するには? |
| コントローラーが効かない | クライアント側で未設定 / ゲームがraw inputを使用 / DirectInput機器 | クライアントPCのBig Pictureのコントローラ設定でパッドが認識されているか確認。ハンドル・フライトスティックは非対応 | ゲームコントローラの入力にゲームが反応しません |
| マウスとキーボードだけ効かない | 管理者権限で動くゲームはWindowsがリモート入力を遮断する | 管理者として実行の設定を外す。公式が名指ししている Age of Empires 3 / The Bard's Tale / Nether は仕様上あきらめる | マウスとキーボードの入力にゲームが反応しません |
| ゲームではなくデスクトップが映る | 仕様。ホスト側でゲームからフォーカスが外れると切り替わる | ホストがゲームウィンドウに戻る。配信中にホストが別ウィンドウを触らない | 既知の問題(一般) |
この表のうち4行は、設定では直りません。ゲームが非対応 / 相手の声が乗らない / 管理者権限で動くゲームの入力 / デスクトップが映る、の4つは仕様か制約です。直らないものを何時間も追いかけないために、まずここを見分けてください。
招待まわり: 「送れない」と「届かない」は別の問題
招待でつまずいたとき、最初に切り分けるのは自分が悪いのか、相手が悪いのかです。公式ヘルプの基本トラブルシューティングは、この判定方法を一行で書いています。相手のフレンドリストであなたが「ゲーム内」、あなたのリストで相手が「オンライン」——両方が成立していなければ、招待の操作をいくら繰り返しても意味がありません。
- 自分が「ゲーム内」にならない: ホスト側でゲームが正しく起動していない。公式は「ホストするマシンでゲームを最低1回は起動し、正しく動くことを確認してから」と手順で明示しています
- 相手が「オンライン」にならない: 相手がSteamを落としている、オフライン表示にしている、モバイルアプリだけログインしている
そのうえで招待メニュー自体が出ないなら、原因はゲーム側です。Remote Play Togetherはゲームが対応していないと使えません。ストアページ右側のゲーム詳細に表記があるかどうかが唯一の判定基準で、「協力プレイ対応」と書いてあることとは別物です。
フレンド登録すら要らない抜け道
相手をフレンド登録できない、承認待ちで進まないというときは、招待リンクを使えば飛ばせます。ゲーム起動中のフレンドリスト/オーバーレイからリンクをコピーして送ると、相手はSteamアカウントを持っていなくても、無料のSteam Linkアプリで参加できます。リンクは1本につき1人なので、3人呼ぶなら3本発行します。手順の詳細は1台のPCで2人プレイするやり方にまとめてあります。
音まわり: ゲーム音とマイクは別のルートを通る
ここが最も誤解されている部分です。ゲームの音は届くが、マイクは届きません。
Remote Playは、ホストPCで鳴っているゲーム音声と映像をキャプチャしてゲストへ送り、ゲストの入力(キーボード・マウス・パッド)をホストへ返す仕組みです。この経路にマイクは含まれていません。公式ヘルプの既知の問題にも「現時点でストリーミングにおけるボイス録音はサポートされていません」と明記されています。
したがって、
- ゲーム内ボイスチャット機能にゲストの声は乗りません。ホストが1人でしゃべっている状態になります
- 通話は別立てにします。Steamのフレンドとの通話、Discord、なんでも構いません
- リンク招待でSteamアカウントなしの相手を呼んだ場合は、Steamの通話も使えません。この組み合わせのときだけは、事前に通話手段を決めておかないと当日詰みます
一方、ゲーム音がまったく出ないときはミュートの確認が先です。ゲスト側の音量だけでなく、ホスト側のSteamがOSの音量ミキサーでミュートになっているケースが公式の確認項目に入っています。両方見てください。
コントローラーまわり: 買う前に試せることが3つある
「パッドが効かない」で機材を疑うのは最後です。公式ヘルプが挙げている原因は、順に次の3つです。
- クライアント側で設定されていない: 認識確認はゲスト側のPCで行います。Big Pictureのコントローラ設定にそのパッドが出ているか、出ていなければそこで設定する必要があります。ホスト側をいくら見ても意味がありません
- ゲームがraw inputを使っている: XInput/DirectInputではなくraw inputで入力を取るゲームは、現時点で未対応です。この場合はどのパッドに替えても効きません
- 機器がそもそも対象外: ハンドルやフライトスティックなどゲームパッド以外のDirectInput機器は非対応。XInputを使うコントローラは完全対応、というのが公式の線引きです
つまり「効かない」の正体は、多くの場合ゲスト側の設定漏れか、XInput非対応のパッドです。手持ちがPS系・Switch系・古い無名パッドなら、XInputで確実に通る1本を用意すると切り分けそのものが不要になります。同じ理由で、2人目以降の買い足しは接続方式で迷わないものを選ぶのが結局いちばん早く済みます。
無線パッドで「効かない」ではなく「時々切れる」なら、原因は別です。レシーバー同士や無線機器の干渉なので、受信機を本体から離すだけで直ることがあります。
途切れの原因が電池・干渉・USBポートのどれなのかは、協力プレイ環境の作り方の切り分け手順が使えます。
「重い」だけは、この記事の対処では直りません
カクつき・遅延・「全員入れるのに1人だけ重い」は、設定の問題ではなく帯域の問題です。Remote Play Togetherはホスト1台が全員分の映像を送り出す方式なので、効くのは参加者の回線ではなくホストの上りです。人数別に必要な帯域の目安と、足りないときに落とす設定の順番はリモートプレイトゥギャザーが4人だと重いに分けてあります。
公式ヘルプが挙げている改善策も、方向は同じです。有線接続の推奨、ゲーム側の解像度を下げる・垂直同期を切る、Remote Play設定で帯域の上限や最大キャプチャ解像度を調整する。この記事の診断表を全部試しても改善しない症状は、たいてい帯域が理由です。
それでも直らないときの判断
Game Guide Scout としての結論を、条件別に書いておきます。
- 同じ部屋にいるなら: Remote Playにこだわらず、ローカル画面分割に切り替えるのが確実です。ストリーミングという層が消えるので、ここに挙げた症状の大半が最初から発生しません。対応ゲームの見分け方は画面分割の記事へ
- 離れていて、相手がゲームを持っていないなら: Remote Play Togetherを粘る価値があります。ただし前提として、ホストのPCと上り回線が2人分の負荷に耐えられること
- 離れていて、相手も買ってよいなら: そのゲームにオンライン協力があるなら、そちらのほうが安定します。『Overcooked! 2』や『Chained Together』のように最初からオンライン対応の作品を選べば、ストリーミングの制約(マイク・入力遅延・帯域)から全部解放されます。1本の購入で2人遊べるフレンドパス対応タイトルという選択肢もあります
- どうしても原因が特定できないなら: ホストのSteamフォルダにある
logs\streaming_log.txtと、ストリーミング中の F6(統計表示)・F8(スクリーンショットと10秒間の統計をzipで保存)を使って、Steamサポートに再現手順つきで送るのが最短です
「相手の声が聞こえない」を設定で直そうとするのは時間の無駄です。 これは仕様なので、通話アプリを開くほうが早く終わります。
よくある疑問
Q. ゲストもゲームを買う必要がありますか? いりません。Remote Play Togetherは、ホストがゲームを所有していれば、ゲストは所有も起動もせずに参加できます。公式ヘルプの冒頭に書かれている仕様です。
Q. 招待リンクは1本で全員呼べますか? 1本のリンクで入れるのは1人です。複数人を呼ぶなら、人数分のリンクを発行して1人ずつ送ります。参加人数の上限はSteamの想定で4人程度(回線が速ければそれ以上)ですが、増えるほどホストの上り帯域が必要になるので、帯域の記事の目安を先に確認してください。
Q. ホストが別のウィンドウを触ったらゲストの画面が変わりました。故障ですか? 仕様です。ゲームからフォーカスが外れると、ゲームに戻れるようにデスクトップのストリーミングが始まります。ホストは配信中にブラウザやDiscordを前面に出さないほうが無難です。
Q. Steam以外のゲームでもできますか? ライブラリに追加したSteam以外のゲームがストリーミングできることはありますが、公式にはサポートされていません。動かなくても仕様どおりなので、そこで悩まないでください。
