2人までは普通に遊べたのに、4人にした途端に誰か1人だけカクつく。あるいは全員が一斉に重くなる。
結論を先に書きます。効くのは参加者の回線ではなく、ホスト1台の「上り(アップロード)」です。リモートプレイトゥギャザーは、ホストのPCが参加者の人数ぶん映像を送り出す仕組みなので、人が増えるほどホストの上りだけが直線的に苦しくなります。参加者の回線を順番に疑うのは、ほとんどの場合ムダな時間です。
先に断っておきます:Steamはこの表を公開していません
リモートプレイの必要帯域を調べると「人数×10Mbps」という数字がいくつものサイトに出てきますが、出典を書いているところがありません。実際にValveの公式ドキュメント(Steamworksのリモートプレイのページ、Steamサポートのヘルプ)を確認しても、人数別の帯域表は公開されていません。
なので、この記事の表は次の2つを根拠にしています。当サイトで計測した値ではありません。
- Valveの案内: リモートプレイトゥギャザーには10〜30Mbpsの回線を推奨。リモートプレイヤー1人あたり上り10Mbpsという案内が出ている
- Steam公式コミュニティ「Steam Remote Play」グループの実測報告: 参加者1人の接続で3〜6Mbps、2人接続で10Mbpsを超える、という投稿がある
つまり「1人あたり10Mbps」は上振れの目安で、画質を落とせば実測は3〜6Mbpsまで下がるということです。この2つを人数分に積んだのが下の表です。
人数×画質別・ホストに必要な上り帯域
| 参加者 | 画質の狙い | ホストの上り目安 | 足りないとき最初に落とすもの | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 1人 | 標準(1080p/60fpsを狙う) | 10Mbps | 解像度を720pに下げる | Valve案内「リモートプレイヤー1人あたり10Mbps」 |
| 1人 | 抑えめ(720p) | 3〜6Mbps | フレームレート | 公式コミュニティの実測報告(1人接続時) |
| 2人 | 標準 | 20Mbps | 解像度(2人分同時に効く) | 10Mbps×2。実測でも2人接続で10Mbps超 |
| 2人 | 抑えめ | 10Mbps前後 | フレームレート | 実測3〜6Mbps×2 |
| 3人 | 標準 | 30Mbps | 解像度。ここから有線化が前提 | 10Mbps×3。Valve案内の上限(30Mbps)に達する |
| 3人 | 抑えめ | 10〜18Mbps | フレームレート | 実測3〜6Mbps×3 |
| 4人 | 標準 | 40Mbps | まず有線化。次に全員分の解像度 | 10Mbps×4。Valveが案内する回線の上限(30Mbps)を超える |
| 4人 | 抑えめ | 12〜24Mbps | 解像度を720p以下に統一 | 実測3〜6Mbps×4 |
表から読み取ってほしいのは1点です。4人・標準画質はValveが案内している回線の範囲を超えます。つまり4人でやるなら、画質を落とすことが前提であって、例外的な対処ではありません。ここを知らずに「うちの回線が悪いのか」と悩む必要はありません。
なぜホストの上りだけが効くのか
リモートプレイトゥギャザーで動いているのは、ゲームそのものの同期ではなく動画配信です。ゲームはホストのPCだけで動いていて、その画面を映像に変換して各参加者へ送り、参加者からはコントローラーの入力だけが返ってきます。
だから負荷はこう分かれます。
- ホストの上り — 参加者の人数ぶんの映像を送る。ここだけが人数に比例して増える
- 参加者の下り — 自分の分の映像1本を受け取るだけ。人数が増えても変わらない
- 参加者の上り — コントローラー入力だけ。ごくわずか
参加者が「自分の回線が遅いのかも」と言い出したら、それは高確率で外れです。参加者側で効くのは回線速度より遅延(応答時間)のほうで、速度を上げても改善しません。
動きの激しいゲームほど同じ解像度でも重くなります
映像圧縮は「前のコマとの差分」を送る仕組みなので、画面全体が動き続けるゲームほど差分が大きくなり、同じ解像度でもビットレートを食います。
Overcooked! 2
大混乱のキッチンで協力して料理を作るクッキングアクション。息が合えば爽快、合わないと大騒ぎ。パーティー協力ゲームの定番中の定番。
Overcooked! 2 や Human Fall Flat のように画面全体がにぎやかに動く作品は重い側です。逆に PICO PARK のようにドット絵で画面の情報量が少ない作品、Chained Together のように縦方向にゆっくり進む作品は軽く済みます。「4人で重い」と言っている人の遊んでいるタイトルを聞くと、だいたい前者です。同じ回線でも、作品を変えれば解決することがあります。
自分の上りを調べる
ここでほぼ全員が同じ間違いをします。速度計測サイトを開いて、大きく出ている数字(下り)を見て安心してしまうことです。
見るべきは上り(アップロード/UPLOAD)の数字だけです。日本の家庭向け回線は上下非対称の契約が多く、下りが数百Mbps出ていても上りは数十Mbpsということが普通にあります。とくに集合住宅のVDSL方式は上りが細くなりがちです。
測るときのコツが2つあります。
- ホストにするPCで測る(スマホや別の部屋のPCで測っても意味がありません)
- 遊ぶ時間帯に測る。夜は上りが落ちる回線があります。昼に40Mbps出ていても、22時に15Mbpsまで落ちるなら、それが実際の上限です
足りないときに落とす順番
順番があります。上から順に、効果が大きくて失うものが少ない順です。
1. 有線にする(無料・効果最大)
Wi-Fiは上りが不安定になりやすく、瞬間的な落ち込みがそのままカクつきになります。ホストのPCだけでもLANケーブルで繋いでください。参加者側は無線のままで構いません。ここだけで直ることが本当に多いです。
すでにケーブルがあるならそれで試してください。買い足すなら、CAT6Aの標準形状を、実際に測った距離+1〜2mで選べば失敗しません。規格を上げても上りの契約速度は変わらないので、高いものを買う必要はありません。壁沿いに這わせるなら細いタイプが扱いやすいです。
2. 解像度を下げる
Steamの「設定 → リモートプレイ」に、ホスト側とクライアント側それぞれの詳細オプションがあり、ストリーミングの解像度とビットレートの上限を指定できます(項目名はクライアントの版で変わることがあります)。4人なら720p以下に揃えるのが現実的です。1人だけ高画質にしても、その1人のぶんだけホストの上りを食います。全員で揃えてください。
3. フレームレートを下げる
解像度を下げても足りないときに触ります。パズルや農業系なら30fpsでも成立しますが、アクション系は操作感が明確に落ちます。ここを触る前に、遊ぶタイトルを軽いものに変えられないかを先に検討したほうが満足度は高いです。
4. ハードウェアエンコードを確認する
ホストのGPUで映像を圧縮する設定です。有効になっていないとCPUで処理することになり、ゲーム自体も重くなります。ゲームのフレームレートまで落ちている場合はここを疑ってください。
それでも4人が無理なら、手段を変える
上りが慢性的に足りない回線だと、リモートプレイトゥギャザーで4人は現実的ではありません。その場合は仕組みごと変えたほうが早いです。
同じ部屋に集まれるならSteamを1台のPCで2人プレイするやり方、1本買えば2人で遊べる作品を探すならフレンドパス対応タイトル、そもそもオンライン協力に対応した作品に乗り換えるなら4人で遊べる協力ゲームが使えます。オンライン協力対応の作品なら映像を配信しないので、この記事の帯域の話は丸ごと関係なくなります。
Chained Together のようにリモートプレイでも遊ばれている作品については、Chained Together の遊び方にまとめてあります。
人数別・最初にやること
2人まで
- 上りを測る(10〜20Mbps)
- 足りていれば設定はそのまま
- カクつくならホストを有線に
3〜4人
- ホストの有線化は必須と考える
- 解像度を全員720p以下に揃える
- 軽いタイトルを選ぶ
上りが慢性的に足りない
- オンライン協力対応の作品に変える
- 画面分割やフレンドパスを検討
- 配信しない仕組みなら帯域は無関係
回線そのものを変えるのは、どういうときか
上の2つを試して駄目だったなら、残る手段は契約を変えることです。ただし先に確認してほしい条件が2つあります。
- 集合住宅のVDSL方式だと、契約を変えても上りが上がらないことがあります。建物内の配線がボトルネックなので、光配線方式に切り替えられるかを管理会社に確認するのが先です
- モバイル回線(WiMAX等)への乗り換えは、この用途では逆効果になりがちです。工事不要という利点はありますが、上り帯域と応答速度は光回線に劣るのが一般的で、この記事が問題にしているのはまさにその上りです
光回線の乗り換えを検討する場合はIPoE(v6プラス)対応の光回線に変えるとき見る場所にまとめてあります。ただし工事と契約期間が絡むので、上の「手段を変える」を先に検討したほうが早く解決します。
言い切ります。4人でやるなら、まずホストを有線にして、全員の解像度を720p以下に揃えてください。この2つをやらずに「回線が悪い」と結論を出すのは早すぎます。逆に、この2つをやってもダメなら、それは設定ではなく契約の上りが足りていないということです。
よくある質問
下りが速ければ大丈夫ですか?
大丈夫ではありません。ホストが映像を送り出すので、効くのは上りだけです。日本の家庭向け回線は上下非対称の契約が多く、下りが数百Mbps出ていても上りは数十Mbps、ということが普通に起きます。速度計測サイトで大きく出ている数字は下りなので、そこを見て安心しないでください。
ホストを交代すれば解決しますか?
解決することがあります。必要なのは参加者全員の上りではなく、ホスト1人の上りだからです。参加者の中に上りの太い人がいるなら、その人がホストになるのが最も早い解決策です。ゲームを持っているのがホストである必要はありますが、リモートプレイトゥギャザーは1本のゲームを共有する仕組みなので、ゲームを持っている人が複数いるなら回線の良いほうを選べます。
Wi-Fi 6 なら有線と同じですか?
同じにはなりません。規格上の最大速度は十分でも、問題になるのは瞬間的な落ち込みです。リモートプレイでは一瞬の落ち込みがそのままカクつきとして見えます。ホストのPCだけでも有線にするのを勧めるのはそのためです。参加者側は無線のままで構いません。
上りはどれくらいあれば足りますか?
人数と画質で変わります。上の表を目安にしてください。測るときは、ホストにするPCで、実際に遊ぶ時間帯に測るのが重要です。昼に40Mbps出ていても22時に15Mbpsまで落ちる回線なら、実際の上限は15Mbpsです。
集合住宅で上りが遅いのですが、回線を変えれば直りますか?
建物内がVDSL方式だと、契約を変えても上りが上がらないことがあります。まず管理会社に、光配線方式に切り替えられるかを確認してください。切り替えられない場合は、回線ではなく遊び方を変えるほうが早く解決します。

