「軽い録画ソフト」を探している段階で、探す対象が違っている可能性があります。
OBS Project の公式ヘルプには、こう書かれています。
If you have an available hardware encoder, try to use that for your recordings.
使えるハードウェアエンコーダがあるなら、録画にはそれを使え。ソフトを乗り換える前に、いま自分がどのエンコーダで録っているかを確認してください。
同じソフトでも、設定ひとつで負荷のかかる場所が変わります。
エンコーダ別の負荷と確認手順
| エンコーダ | 負荷がかかる場所 | 自分がこれを使っているかの確認方法 | 使うための条件 |
|---|---|---|---|
| x264(ソフトウェア) | CPU。ゲームと同じCPUを奪い合う。「録画すると重い」の典型的な原因 | OBSなら 設定 → 出力 → 録画 → エンコーダ。「x264」または「ソフトウェア」と出ていればこれ | CPU性能だけ。どのPCでも使えるが、その代わり重い |
| NVENC(NVIDIA) | GPU内の専用回路。ゲームの描画とは別の場所で処理されるため、影響が小さい | 同じ画面で「NVENC」と表示されるか。選択肢に出てこなければ非搭載 | NVENC搭載のGPU。NVIDIA公式の対応表でGPU名を引く。「NVENC Generation」が「N/A」なら非搭載(GeForce MX450が該当)。AV1はRTX 40シリーズ(8th Gen)以降 |
| AMF(AMD) | GPU内の専用回路(VCN)。同じくゲームの描画とは別 | 同じ画面で「AMF」と表示されるか | AMD公式(GPUOpen)のAMF対応表で確認できる。H.264とHEVCはVCN 2.0以降(Radeon RX 53xx〜RX 907x、Ryzen 5xxx〜9xxxのAPU)。AV1はVCN 4.0以降のみ(Radeon RX 75xx〜79xx・RX 906x/907x、Ryzen 8xxx) |
| QSV(Intel Quick Sync Video) | 内蔵GPUまたはArc内の専用回路 | 同じ画面で「QuickSync」と表示されるか | 対応可否はIntel ARKの製品仕様ページで型番を引く(「インテル® クイック・シンク・ビデオ」の項目)。内蔵グラフィックスが有効でないと使えないとIntelが明記。AV1エンコードはArc系の製品仕様に記載あり。世代別の対応コーデック一覧は、当サイトからintel.comへの取得が拒否されたため未確認 |
まず設定画面を開いて、いまどれが選ばれているかを見てください。ここが「x264」なら、それが重さの原因である可能性が高いところです。
Intelだけ粒度が落ちている理由
当サイトは3社を同じ深さで調べようとして、Intelだけ届きませんでした。そこも書いておきます。
探したのは、Intel ARKの製品仕様ページ、Intelサポートの「Quick Sync Videoが有効かどうかを確認する方法」の記事、Intel公式のGPU対応コーデックのサポート記事の3か所です。いずれも当サイトからの自動取得が拒否され(HTTP 403)、本文を読めていません。
確定できたのは2点です。Intel ARKの製品仕様ページに「インテル® クイック・シンク・ビデオ」の項目があり型番ごとに対応可否が分かること、そしてQuick Sync Videoは内蔵グラフィックスが有効になっていないと使えないとIntelが記載していることです。
これは実用上わりと効きます。単体GPUを挿した構成でマザーボード側の内蔵グラフィックスが無効になっていると、Intel製CPUでもOBSの選択肢にQuickSyncが出てきません。「対応しているはずなのに出ない」場合は、GPUの型番よりBIOS/UEFIの設定を先に見てください。
自分のGPU名を調べる
対応表を引くには型番が要ります。
タスクマネージャー → パフォーマンス → GPU。右上に「NVIDIA GeForce RTX 4060」のような型番が出ます。複数のGPUがある場合は「GPU 0」「GPU 1」と並ぶので、両方確認してください。内蔵GPUと単体GPUの両方が載っていることは珍しくありません。
この型番を、NVIDIAなら公式の対応表、AMDならAMFの対応表、IntelならARKの製品仕様ページで引きます。
NVIDIAでも積んでいないモデルがある
「NVIDIAのGPUだからNVENCが使える」とは限りません。
NVIDIA公式の対応表を確認しました(2026年8月25日取得)。GPUごとに、NVENCの世代と対応コーデックが一覧になっています。
公式対応表から読み取れたこと
非搭載のモデルが実在する
GeForce MX450 は NVENC Generation が「N/A」で、H.264もHEVCも全項目が NO。NVIDIA製でもエンコーダを積んでいません。
世代で対応コーデックが変わる
RTX 40シリーズ(Ada Lovelace)は8th Gen で AV1 に対応、RTX 30シリーズ(Ampere)は7th Gen で AV1 は NO。GTX 16シリーズ(Turing)は6th Genです。
AMDも同じ構造だった
AMD公式のAMF対応表でもAV1は VCN 4.0 以降だけ。H.264とHEVCは VCN 2.0 以降で広く対応しています。AV1が世代で切れるのは2社に共通の線引きです。
同時セッション数は12
NVIDIAの表の「Max # of concurrent sessions」列は12。録画と配信を同時にやる程度では上限に当たりません。
設定を変えても直らない場合
😟 こんなお悩みはありませんか?
- NVENCに変えたのにカクつく
- 録画したファイルがコマ落ちしている
- エンコーダの選択肢にNVENCが出てこない
✅ この記事で解決できます!
- GPU自体が上限に来ている可能性があります。エンコード回路は別でも、ゲームの描画でGPUを使い切っていれば影響が出ます。ゲーム側の画質設定を下げて確認してください。
- 書き込み先を疑ってください。必要な書き込み速度は録画ビットレートから出せます。ビットレート(Mbps)÷ 8 = 毎秒のMB数。50Mbpsなら毎秒約6.3MB、100Mbpsなら毎秒約12.5MBが連続で書き込まれ続けます。この数字を、いま録画先にしているドライブの実効書き込み速度と比べてください。カタログ値ではなく、断片化した領域や空き容量の少ない状態での実効値が問題になります。
- GPUが非搭載か、ドライバが古い可能性があります。NVIDIA公式の対応表で自分のGPU名を引き、NVENC Generation が「N/A」でないかを確認してください。Intel環境なら、内蔵グラフィックスがBIOS/UEFIで無効になっていないかも見てください。
書き込み先が原因だった場合、対処はストレージ側です。
OBSでの具体的な手順
- 自動構成ウィザードを走らせる ツール → 自動構成ウィザード。OBS公式が「基本的な設定はこれでほぼ正しくなる」と案内しています。まずこれを試してください。
- 録画は「簡易出力モード」と録画プリセットを使う 公式ヘルプが録画についてはこの組み合わせを案内しています。細かい設定を触る前の出発点です。
- ハードウェアエンコーダが選べるなら切り替える 公式ヘルプは、使えるハードウェアエンコーダがあるなら録画にはそれを使うよう案内しています。選択肢に出ていれば切り替えてください。
- それでも重ければゲーム側の設定を下げる GPUを使い切っていると、エンコード回路が別でも影響が出ます。ここまで来たらソフトではなく負荷配分の問題です。
Game Guide Scout の結論
「軽い録画ソフト」を探す前に、設定画面のエンコーダ欄を見てください。そこが「x264」なら、ソフトを乗り換えても同じ重さになります。CPUで処理している限り、ゲームとCPUを奪い合う構造は変わりません。
メーカーを問わず、まず型番を控えるのが早いです。タスクマネージャーで型番を見て、NVIDIA・AMD・Intelそれぞれの対応情報を引く。NVIDIA製GPUでもNVENCを積んでいないモデルがあり、AV1はNVIDIA・AMDとも世代で切れます。
Intel環境で「対応しているのに選択肢に出ない」場合は、内蔵グラフィックスが無効になっていないかを見てください。Quick Sync Videoは内蔵グラフィックスが有効であることが前提だと、Intelが記載しています。
エンコーダを変えても直らないなら、次に疑うのは書き込み先です。ビットレート÷8で必要な毎秒MB数を出して、いまのドライブと比べる。そこまで来て初めて、ソフトの問題を考える段階になります。
ゲームバーで録画できない症状はゲームバーで録画できない、遡って録画する機能はインスタントリプレイの使い方にまとめてあります。
よくある質問
一番軽い録画ソフトはどれですか?
ソフトよりエンコーダの設定で決まります。OBS公式も「使えるハードウェアエンコーダがあるなら録画にはそれを使う」と案内しています。同じソフトでも、x264とNVENCでは負荷のかかる場所が違います。
自分のGPUがNVENCに対応しているか調べるには?
タスクマネージャー → パフォーマンス → GPU で型番を確認し、NVIDIA公式の対応表で引いてください。「NVENC Generation」の欄が「N/A」なら非搭載です。GeForce MX450 が実際にそうなっています。
AMDのGPUでもハードウェアエンコードできますか?
できます。AMD公式(GPUOpen)のAMF対応表では、H.264とHEVCがVCN 2.0以降(Radeon RX 53xx〜RX 907x、Ryzen 5xxx〜9xxxのAPU)、AV1はVCN 4.0以降(Radeon RX 75xx〜79xx・RX 906x/907x、Ryzen 8xxx)と区分されています。
Intel環境でQuickSyncが選択肢に出てきません
内蔵グラフィックスが有効かどうかを確認してください。Intelは「Quick Sync Videoは内蔵グラフィックスが有効になっている場合にのみ利用できる」と記載しています。単体GPUを挿した構成では、マザーボード側で内蔵グラフィックスが無効になっていることがあります。型番ごとの対応可否はIntel ARKの製品仕様ページで確認できます。
AV1で録画できますか?
GPUの世代によります。NVIDIA公式の対応表ではRTX 40シリーズ(8th Gen)以降がAV1に対応しRTX 30シリーズ(7th Gen)はNO、AMDのAMF対応表ではVCN 4.0以降のみAV1対応です。
録画と配信を同時にやると上限に当たりますか?
当たりません。NVIDIA公式の対応表では「Max # of concurrent sessions」が12と記載されています。
この記事の根拠はどこにありますか?
出典は3種類に分かれます。エンコーダの選び方はOBS Project公式のヘルプページ、GPUごとのNVENC世代・対応コーデック・同時セッション数はNVIDIA公式の「Video Encode and Decode GPU Support Matrix」、AMDの世代別の対応コーデックはAMD公式(GPUOpen)のAMFリポジトリにある「GPU and APU HW Features and Support」から、いずれも2026年8月25日に取得しました。Intelについては、ARKの製品仕様ページ・サポート記事の本文を当サイトから取得できなかった(HTTP 403)ため、確認できたのは「ARKに『インテル® クイック・シンク・ビデオ』の項目があること」と「内蔵グラフィックスが有効である必要があること」の2点にとどまります。世代別の対応コーデックはNVIDIA・AMDと同じ粒度では確認できていません。当サイトでの負荷の実測も行っていないため、具体的な負荷の数値は出していません。
