「4Kで144fps出したい。どのグラボを買えばいい?」
先に結論を書きます。多くの場合、グラフィックボードは足りています。
NVIDIAの公式仕様を見ると、2世代前の RTX 4070 でも「4K 240Hz(DSC使用時)」と書かれています。 144Hzはとうに超えています。
それでも映らない、あるいは144Hzが選べない。 そのとき止まっているのは、GPUではない可能性が高いです。
結論:4K144は3つが揃って初めて出る
- ① モニタが4K144Hz入力に対応しているか 対応していなければ何を買っても出ない。仕様表の「最大リフレッシュレート」を見る
- ② モニタとGPUの両方がDSCに対応しているか ここが一番多い。各社の4K高リフレッシュ表記は「DSC使用時」が前提になっている
- ③ ケーブルが規格を満たしているか VESA認証のDP40/DP80の刻印を見る。古いDPケーブルだと帯域が足りない
- ④ ①〜③が揃っていてfpsが出ない ここで初めてGPUの話になる。ゲーム側の要求も別に見る
では、どうするか。分岐ごとに書きます。
- ①でつまずいた → モニタの買い替えが要ります。4K144Hz対応かつDSC対応の製品を選びます
- ②でつまずいた → 同上です。DSC非対応の4Kモニタは、GPUを替えても144Hzになりません
- ③でつまずいた → ケーブルだけの問題です。数千円で解決します
- ④まで来た → ここで初めてGPUと、遊ぶゲームの要求を見ます
モニタ側が原因だった場合
4K144Hzで探すとき、仕様表で見るのは解像度ではありません。 「最大リフレッシュレート」と「DSC対応」の2つです。 4K対応と書いてあっても60Hzまでの製品が多く、そこが分かれ目になります。
もう1社を並べて価格を比べるなら、Acer の直販もあります。
根拠:3社の公式仕様を並べる
ここから先は、上の判定の裏づけです。判断だけ済んだ方は、ここで閉じて構いません。
| GPU | DisplayPort | 公式の最大表記 | 4K144に届くか |
|---|---|---|---|
| GeForce RTX 5070 | DisplayPort 2.1b with UHBR20 | 4K 480Hz または 8K 165Hz(DSC使用時) | ○ |
| GeForce RTX 5060 Ti / 5060 | DisplayPort 2.1b with UHBR20 | 4K 480Hz または 8K 165Hz(DSC使用時) | ○ |
| GeForce RTX 4070 | DisplayPort 1.4a | 4K 240Hz または 8K 60Hz(DSC使用時) | 条件つき○(DSC必須) |
| GeForce RTX 4060 Ti / 4060 | DisplayPort 1.4a | 4K 240Hz または 8K 60Hz(DSC使用時) | 条件つき○(DSC必須) |
| Radeon RX 9070 XT | DisplayPort 2.1a / HDMI 2.1b | 8K 144Hz(12-bit HDR・REC2020) | ○ |
| Radeon RX 7800 XT | DisplayPort 2.1 / HDMI 2.1a | 8K映像再生に対応と記載 | 条件つき○(DP2.1対応はカード設計による) |
| Intel Arc B580 | DisplayPort 2.1 ×3 / HDMI 2.1 | DP: 7680×4320@60Hz / HDMI: 7680×4320@120Hz | 公式に4Kの記載なし |
出典: NVIDIA RTX 5070 / RTX 5060 Family / RTX 4070 / RTX 4060 / AMD RX 9070 XT / RX 7800 XT / Intel Arc B580
GeForce RTX 3070 は、NVIDIA公式の製品ページに DisplayPort のバージョン表記が見当たらなかったため、表に入れていません。 このサイトでは推測で埋めない方針なので、確認できなかったものは行ごと落としています。
読み取れること
注目すべきは、NVIDIAの表記がどちらの世代も「DSC使用時」であることです。 DSC(Display Stream Compression)が効いていることが前提の数字で、 DSCが使えない構成では、この解像度とリフレッシュレートの組み合わせは出ません。
DisplayPort 1.4a世代のRTX 40シリーズでも、公式表記は4K 240Hzです。 つまりGPU側は、2世代前でもすでに足りています。
DSCが何をしているか(VESA公式)
DSCは映像を圧縮して、必要な帯域を下げる仕組みです。VESAはこう書いています。
DSC bitstream support can reduce DisplayPort transport bandwidth in excess of 67 percent without visual artifacts (DSCは、視覚的な劣化なしにDisplayPortの転送帯域を67%以上削減できる)
出典:VESA Releases DisplayPort 2.1 Specification
逆に、モニタ側がDSCに対応していなければ、最新GPUを挿しても144Hzは選べません。
ケーブルの規格(VESA公式)
VESAはケーブルを帯域で区分し、認証名を付けています。
| 認証名 | リンクレート | 最大スループット |
|---|---|---|
| DP40 | UHBR10(10 Gbps) | 4レーンで 40 Gbps |
| DP80 | UHBR20(20 Gbps) | 4レーンで 80 Gbps |
出典:同上(VESA公式)
ケーブルに認証の刻印があるかを見てください。 規格外のDisplayPortケーブルは帯域が足りず、4K144を選ぼうとすると信号が落ちます。
④まで来たとき:GPUとゲーム側の要求
①〜③が揃っていて、それでも144fpsに届かない。ここで初めてGPUの話になります。
ただし、もうひとつ確かめることがあります。ゲーム側の要求です。
ゲーム基本情報・必要スペック(公式情報)
| CPU | Intel Core i5-10400 / Core i3-12100 / AMD Ryzen 5 3600(最低・推奨とも同じ) |
|---|---|
| メモリ | 16 GB RAM |
| GPU | 最低 GTX 1660(VRAM 6GB) / RX 5500 XT(VRAM 8GB) / 推奨 RTX 2060 Super(VRAM 8GB) / RX 6600(VRAM 8GB) |
| ストレージ | 75 GB(SSD必須) |
- 推奨環境の追記事項に「SSD(必須)、グラフィック「中」設定」と明記されている
- 推奨はフルHDの中設定が前提で、4Kや144fpsを想定した数字ではない
- 最低と推奨でCPUが同一。CPUを上げても推奨の範囲では変わらない
出典: Steam公式ストアページ(最低動作環境)。最新の価格・対応状況は各Steamページで確認してください。
出典:Steam appdetails API(モンスターハンターワイルズ・appid 2246340)
公式の推奨環境は、たいていフルHD・中設定・60fpsを想定しています。 4Kで144fpsを狙うのは、そこから2段も3段も上の話です。
メーカーごとの違い
表から読み取れる範囲で、世代の差をまとめます。
NVIDIA は RTX 40シリーズが DisplayPort 1.4a、RTX 50シリーズが DisplayPort 2.1b with UHBR20 です。 どちらも4Kの高リフレッシュ表記は「DSC使用時」で、世代よりDSCの有無が効きます。
AMD は RX 7000シリーズが DisplayPort 2.1、RX 9000シリーズが DisplayPort 2.1a です。 ただしRX 7000世代について、AMDはDisplayPort 2.1対応がカード設計に依存すると注記しています。 同じ型番でもメーカーによって差が出る可能性があるので、購入前に製品ページを確認してください。
Intel の Arc B580 は DisplayPort 2.1 を3基備えますが、 公式の仕様ページにあるのは8K解像度での記載で、4Kでの最大リフレッシュレートの記載は見当たりませんでした。
4K144が要らないケースもある
WQHD(2560×1440)の144Hzにすると、総額がかなり下がります。 同じGPUでもフレームレートは上がり、モニタも安くなり、DSCの条件で悩むことも減ります。
競技系のシューターを遊ぶなら、4Kよりも「WQHDで高いリフレッシュレートを安定させる」ほうが 体感の速さに直結します。4Kが必要なのは、風景や質感を見たいタイプのゲームです。
よくある質問
DSCを使うと画質は落ちますか? VESAは「視覚的な劣化なしに帯域を67%以上削減できる」と説明しています。 可逆圧縮ではありませんが、VESAの位置づけとしては見た目に差が出ない範囲の圧縮です。 気になる場合は、DSCを使わずに済む組み合わせを選ぶ手もあります。
HDMIでも4K144は出ますか? NVIDIAの公式仕様では、RTX 5070がHDMI 2.1bで「4K 480Hz(DSC使用時)」、 RTX 4070がHDMI 2.1aで「4K 240Hz(DSC使用時)」と記載されています。 条件は同じで、モニタ側とケーブルが対応していることが前提になります。
モニタの仕様表にDSCと書かれていない場合はどうすればいいですか? 記載が無いこと自体は非対応の証明にはなりませんが、 4K144Hz対応をうたう製品はDSC対応を明記していることが多いです。 見つからないときは、メーカーのサポートに型番で問い合わせるのが確実です。 推測で買わないでください。
RadeonやArcでも同じ判断でいいですか? はい。表のとおり、AMDもIntelもDisplayPort 2.1世代に入っています。 ただしRX 7000世代はDisplayPort 2.1対応がカード設計に依存するとAMDが注記しているため、 製品ページで個別に確認してください。
まとめ
- 4K144が出ない原因は、GPUより先に端子・ケーブル・モニタ側にあることが多い
- RTX 4070(DisplayPort 1.4a)でも公式表記は「4K 240Hz(DSC使用時)」
- 「DSC使用時」が前提。モニタ側が非対応なら、GPUを替えても144Hzは選べない
- ケーブルは VESA認証の DP40/DP80 の刻印を見る
- AMDのRX 7000世代は、DisplayPort 2.1対応がカード設計に依存する